一定の場合に限り、著作権者の許諾を得ずに翻訳・翻案を行うことができます(43条)。
以下の利用による場合は、翻訳、編曲、その他翻案ができます(43条1号)。
たとえば、他人の著作物を私的複製をする場合は、これを翻案することができるということです。具体的には、アニメやマンガのキャラクターを描いて、大胆にアレンジすることが可能です(ただし50条、下記4)参照)。
以下の利用による場合は、翻訳ができます(43条2号)。
本号により、一定の場合には翻訳ができます。たとえば、図書館でコピーした英文の資料を翻訳したり、文章を引用するさいに翻訳することができます。
では、引用のさいに要約すること(要約的引用)が許されるでしょうか。判例は、引用する者にとっては全文を引用する必要性がない場合があること、細切れによる引用よりも忠実な要約のほうが妥当であること、引用による要約が広く行われていることなどを理由に、他人の著作物をその趣旨に忠実に要約して引用することは許容されるとしました(東京地判平成10.10.30「『血液型と性格』の社会史」事件)。条文の文言との関係で異論の多いところです。
聴覚障害者のための自動公衆送信(37条の2)をする場合は、翻案(要約のみ)ができます(43条3号)。
複製権の制限により作成された複製物を譲渡するさいには、譲渡権も制限されます(47条の4、5-3-2.5)参照)。
つぎのア〜エに掲げる者は、21条の複製を行ったものをみなされます(49条1項、みなし複製)。すなわち、目的外の使用をした時点で21条の複製があったものと評価されますので、その時点で著作権者の許諾がない場合は著作権侵害となります。
違法に複製して作成されたもののことを俗に、「海賊版」または「ブートレグ」といいます。国際レコード産業連盟(IFPI)によると、2004年度の中国はCDの海賊版が市場で85%を占めていたとのことです(知的財産情報局)。
以下の規定に定める目的以外の目的のために、これらの規定の適用を受けて作成された著作物の複製物を頒布し、またはその複製物によって著作物を公衆に提示した者。
たとえば、アイドルの画像を公式サイトからダウンロードする行為は私的複製ですが、その画像をDVDに収めてネットオークションで販売した場合、複製とみなされますので、この複製の時点で著作権者の許諾がなければ違法な複製となります(49条1項1号、30条1項)。
頒布または公衆への提示が規制されているにすぎないので、特定少数人への譲渡または提示は、規制の対象ではありません。
44条1項・2項の規定によって作成した一時的固定物を、同条3項に定める期間を超えて保存した放送事業者または有線放送事業者。
47の2条1項(プログラムの著作物の複製物の所有者による複製等)により作成された著作物の複製物を頒布し、またはその複製物によって著作物を公衆に提示した者。
47の2条2項(プログラムの著作物の複製物の所有者による複製物の保存)に反して、当該複製物を保存した者。
工事中(49条2項)
著作権が制限される場合であっても、著作者人格権を侵害しているといえるかどうかは、別個に判断されます(50条)。つまり、著作財産権の観点から見て問題のない行為であったとしても、著作者人格権を侵害することはありうるということです。著作財産権と著作者人格権は、たがいに独立した概念だからです。
たとえば、私的複製としてガラの悪そうなキティちゃんを描いたという場合、上述1)(1)のとおり著作財産権の観点からは問題のない行為ですが(43条1号・30条1項)、サンリオの同一性保持権(20条1項)を侵害していないとはいいきれないということです。