1)著作財産権の定義

著作財産権(狭義の著作権、以下「著作権」)とは、著作権者の財産的利益の保護を目的とする権利の総称のことです。

2)著作財産権の具体的意義

著作権の内容は、著作物の利用形態に応じて支分権として規定されています(1-3-3.参照)。たとえば、複製するという利用形態には複製権(21条)が、またアップロードするという利用形態には公衆送信権(23条1項)がそれぞれ規定されています。

そして、著作権は排他的独占権ですから(1-3-2.参照)、著作権者は自己の著作物を他人が利用しようとする場合、それを禁止することができます。すなわち、他人が上図権利の利用形態で著作物を利用するには、保護期間(7-1.で後述)が満了している場合や、著作権が制限されている場合(6-1.で後述)など、特定の事情がない限り著作権者の許諾(8-3.で後述)が必要です。また、113条に侵害みなし規定(10-4.で後述)があるため、同条に反する行為もできません。

たとえば、21条には複製権が規定されており、著作物を自由に複製して利用できるのは著作権者だけです。したがって、他人が著作権者に無断で音楽CDをコピーして配ることは、基本的にできません。

しかし、CDに収録されている音楽の著作権の保護期間が満了している場合(いわゆる著作権切れ)や、あるいは個人的に利用するために音楽CDをコピーする場合(30条、私的複製)などは、著作権者に無断で行うことができるのです。保護期間中の場合は、金銭を支払わなければいけない場合があるものの、著作権者から許諾(63条)を得れば著作物を利用できます。

違法に作成されたもの(いわゆる海賊版)を入手した場合、それが海賊版であることを知りつつ配布などすると、著作権侵害とみなされます(113条1項2号)。

著作権制度では、権利者の経済的利益を確保することが重要です(1-2.2).参照)。経済的利益というのは、ひとことでいえば「お金もうけ」のことです。著作権を譲受ける場合や、著作物の利用許諾を得るさいには、権利者に対価として金銭を支払うことがめずらしくありません。

3)著作財産権の種類

現行の著作権法は、複製権を基本とし、その複製権を補うかたちで頒布権、譲渡権、貸与権を認めています。そして、複製を伴わない公での行為につき、上演権・演奏権、上映権、公衆送信権・伝達権、口述権を認めています(田村・概説110頁)。

これら各種の権利は支分権とよばれており、支分権の集まりが著作権を構成しています。支分権は、著作権制度におけるひとつの特徴となっています(1-3-3.参照)。

4)著作財産権の発生

著作者人格権と同様、著作権はなんらの手続きを必要とせずに、著作物を創作するだけでただちに発生します(1-3-1.参照)。

5)著作財産権の譲渡・相続

著作権(著作財産権)は著作者人格権と異なり、譲渡8-2.で後述)や相続の対象となります(61条、民法896条)。したがって、著作権者はその著作権を他人に売渡したり(民法555条)、贈与(同法549条)することが可能です。また、著作権を有している者が死亡した場合、配偶者や子が著作権を相続することになります(同法890条・887条1項)。