1)時事の事件を報道するための利用

写真、映画、放送、その他の方法によって時事の事件を報道する場合には、その事件を構成し、または当該事件の過程で視聴される著作物を、報道の目的上、正当な範囲内において、随伴的に利用することができます(41条)。ただし、慣行があるときは出所を明示する必要があります(48条1項3号)。

事件を構成する著作物とは、たとえば絵画の窃盗について報道する場合の盗まれた絵画のことを、また事件の過程で視聴される著作物というのは、たとえばショッピングモールのオープニングセレモニーにおいて流されているBGMのことをいいます。

41条は、報道においては著作物の利用が不可欠の場合があること、また、不可避的に著作物が入り込んでくることがあることから、設けられた規定です。

2)裁判手続等における複製

裁判手続のために必要と認められる場合や、立法・行政目的のため内部資料として必要と認められる場合には、その必要と認められる限度において複製することができます(42条1項)。ただし、著作権者の利益を不当に害する複製はできません(同項但書き)。

裁判手続のために必要な場合は、裁判官のほか、訴訟当事者、訴訟代理人・弁護人、鑑定人なども複製が許されます。

また、立法・行政目的のために内部資料として必要と認められる場合は、国や地方公共団体の職員や議員は資料を収集するために複製を行うことができます。ただし、内部資料としての複製が認められているだけなので、私人に対する複写サービスはできません。

なお、2006(平成18)年の法改正で、特許審査手続等における文献の複製、および薬事行政手続における文献の複製が認められました(同条2項)。

3)放送事業者等による一時的固定

放送事業者や有線放送事業者は、放送のために著作物を一時的に録音・録画することができます(44条)。2項・3項は省略。