著作物の利用行為が公の場でなされた場合、複製を伴わないものであっても、それは著作物に利用価値があったことを意味します。よって、利用価値に見合った対価を著作権者に還流させるべく、著作権者に無断で行われる公での利用行為を禁止する必要があります。

そこで著作権法は、上演権・演奏権(22条)、上映権(22条の2)、公衆送信権・伝達権(23条)、口述権(24条)、展示権(25条)を著作権者に認めています。

1)上演権・演奏権

著作権者は、その著作物を公衆に直接見せ、または聞かせることを目的として上演・演奏する権利を専有します(22条)。…続きを読む

2)上映権

著作権者は、その著作物を公に上映する権利を専有します(22条の2)。…続きを読む

3)公衆送信権・伝達権

公衆送信とは、公衆によって直接受信されることを目的として、無線通信または有線電気通信の送信を行うことをいいます(2条1項7号の2)。…続きを読む

4)口述権

著作権者は、その言語の著作物を公に口述する権利を専有します(24条)。口述とは、朗読その他の方法により、著作物を口頭で伝達することをいいます(2条1項18号)。口述を録音したものを再生することも含まれます(2条7項)。

たとえば、著作権者の許諾なしに行う小説を読み上げるビジネスは、口述権を侵害していることになります。ただし、非営利で行う口述については、口述権は及びません(38条1項、6-2-2.で後述)。

5)展示権

展示権とは、美術の著作物や未発行の写真の著作物を、原作品により公に展示する権利をいいます(25条)。写真の原作品は、印画紙にプリントされたものをさしており、ネガフィルムはこれにあたりません。

写真の場合、どれが原作品であるかコピー品であるか区別できません。そのため、写真が大量に出回ったとき、それらすべてを原作品またはコピー品と扱わざるをえなくなります。しかし、それでは不都合なので、写真の場合に限って未発行の原作品を展示権の対象としたのです。

展示権は、美術著作物の原作品の所有者や、写真の著作物の原作品の所有者などが著作物を展示する場合には制限されます(6-6.1)で後述)。