複製権とよく比較される支分権が、以下で述べる翻案権(27条)とよばれる権利です。著作権侵害の事例でも、翻案権と複製権はセットで登場することがよくあります。
翻案権は抽象的にいえば、著作物を改変する権利です。「商品化権」というようなことばを聞いたことがあるかもしれませんが、法律上は商品化権という用語はなく、翻案権(または複製権)のことをさして、業界でそうよんでいるのです。
また、既存の著作物をもとにして、自分の好みに合うように作り変えたことがある人も多いはずです。たとえば、好きな映画が収録されたDVDをハードディスクドライブにリッピングして、選りすぐりのシーンだけを取り出して動画を作成したり、音楽を挿入して楽しむというようなことです。
このようにしてみてみると、私たちは複製と同じくらい翻案というものを趣味のなかに取り入れていることがわかります。自分でまったくのゼロから著作物を創作するよりも、他人の創作した著作物をベースにしてそれを作り変えたほうが、場合によっては都合がよいからです。
以下では、翻案権に関する支分権について解説します。
翻訳権・翻案権とは、著作物を翻訳、編曲、変形、翻案する権利のことです(27条)。…続きを読む
二次的著作物の原著作物の著作者は、当該二次的著作物の利用に関し、著作財産権で当該二次的著作物の著作者が有するものと同一の種類の権利を有しています(28条)。…続きを読む